こんにちは。病院経営コンサルの勝又です。

本テーマはyutubeに動画をアップしていますので、ご興味のある方はご覧ください。

https://youtu.be/4R5F_0_-r5M

引用元 令和6年度医療施設等経営強化緊急支援事業の実施について

さて、本日は、令和7年2月12日に通知された「医療施設等経営強化緊急支援事業」についてご説明いたします。先日の動画でもお話をさせていただきましたが、現在、病院経営は非常に苦しい状況に置かれています。人件費と物価が高騰している中でコストが増大していますが、病院の収益は診療報酬で決められてるので価格を引き上げることはできません。その為、収益よりもコスト増大が上回り、経営状況がどんどん悪化してきています。

そこで、政府は年末に補正予算を組み、病院の経営強化緊急支援事業の実施を決定しました。そして、先日、2月12日に実施要綱が公表されました。実施要項には、下記の7つの事業について記されています。

1.生産性向上・職場環境整備等支援事業

【事業の目的】
本事業は、人材確保が喫緊の課題となっている中で、限られた人員でより効率的に業務を行う環境の整備費用に相当する金額を、給付金として支給することにより、業務の生産性を向上させ、職員
の処遇改善につなげることを目的とする。
(令和7年度予算に繰越を行うことにより事業の終期を令和8年3月31日まで延長予定)

2.病床数適正化支援事業

【事業の目的】
本事業は、効率的な医療提供体制の確保を図るため、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関に対し、診療体制の変更等による職員の雇用等の様々な課題に際して生じる負担について支援を行う。

3.施設整備促進支援事業

【事業の目的】
現下の物価高騰を含む経済状況の変化により、地域医療構想の推進や救急医療・周産期医療体制の確保のための施設整備が困難となっている医療機関等に対する支援を行う。

4.分娩取扱施設支援事業・小児医療施設支援事業

【事業の目的】
本事業は、特に分娩取扱施設が少ない地域等における分娩取扱機能の維持のための取組を支援するとともに、地域の小児医療の拠点となる施設について、急激な患者数の減少等を踏まえた支援を行い、地域でこどもを安心して生み育てることのできる周産期医療体制及び地域の小児医療体制を確保することを目的とする。

5. 地域連携周産期支援事業(分娩取扱施設)

【事業の目的】
分娩取扱施設が少なく、当面、集約化が困難な地域に所在する施設に対して、分娩取扱を継続するための運営に係る費用を支援することにより、分娩取扱機能を維持することを目的とする。

6. 地域連携周産期支援事業(産科施設)

【事業の目的】
産科施設において分娩取扱の継続が難しい場合に、妊婦健診等を担う施設として診療を継続することで地域の他の産科施設の負担が軽減されるよう、財政的支援を実施することにより、地域の実情に応じた産科施設の役割分担を進め、周産期医療提供体制を確保することを目的とする。

本日は、1.生産性向上・職場環境整備等支援事業、2.病床数適正化支援事業、3.施設整備促進支援事業について説明します。

まずは、1.生産性向上・職場環境整備等支援事業についてです。

事業の目的

本事業は、人材確保が喫緊の課題となっている中で、限られた人員でより効率的に業務を行う環境の整備費用に相当する金額を、給付金として支給することにより、業務の生産性を向上させ、職員の処遇改善につなげることを目的とする。

事業の内容

令和7年2月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている又は同年3月 31日時点でベースアップ評価料を届出見込みの病院等において、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に、業務の効率化や職員の処遇改善を図る。

事業の支給額

(病院・有床診療所(※))許可病床数×4万円

( 無 床 診 療 所 )1施設×18万円

( 訪問看護ステーション)1施設×18 万円

※許可病床数が4床以下の有床診療所は1施設×18万円を支給する。

給付金の支給対象となる取組について

以下の取組のいずれか(複数可)を支給対象とする。

(ICT機器等の導入による業務効率化)

タブレット端末、離床センサー、インカム、WEB会議設備、床ふきロボット、監視カメラ等の業務効率化に資する設備の導入

(タスクシフト/シェアによる業務効率化)

医師事務作業補助者、看護補助者等の職員の新たな配置によるタスクシフト/シェア

(給付金を活用した更なる賃上げ)

処遇改善を目的とした、既に雇用している職員の賃金改善

給付金の支給について

① 給付金の支給を受けようとする対象施設は、都道府県に対して、別添様式「支給申請書兼口座振込依頼書」及び別紙様式1「生産性向上・職場環境整備等支援事業申請書」を添えて申請を行う。

② 給付金の支給を受けた対象施設は、都道府県が定める日までに、別紙様式2「生産性向上・職場環境整備等支援事業実績報告書」を添えて報告を行う。

③ 都道府県は、給付金の支給について、可能な限り速やかに開始できるよう努めた上で、申請受付開始日や申請期限を決定するものとする。

給付金の返還について

都道府県は、給付金の支給を受けた開設者又は開設者であった者が以下のいずれかに定める事項に該当する場合、支給を行った給付金全額の返還を求める。

① 都道府県において、対象施設から報告があった申請内容が明らかに事業の目的に合致していないと認められる場合。

② 申請内容を偽り、その他不正の手段により給付金の支給を受けたと認める場合。

③ 令和7年3月31 日時点でベースアップ評価料を届出見込みであることにより給付金の支給を受けた対象施設が令和7年3月 31 日までにベースアップ評価料を届け出なかった場合。

つぎに、2.病床数適正化支援事業についてです。

事業の目的

本事業は、効率的な医療提供体制の確保を図るため、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関に対し、診療体制の変更等による職員の雇用等の様々な課題に際して生じる負担について支援を行う。

事業の内容

令和6年12月17日(令和6年度補正予算成立日)から令和7年3月31日までの間に病床数(一般病床、療養病床及び精神病床の病床数とする。以下同じ。)の削減を行う病院又は診療所に対し、給付金を支給する事業を行う都道府県に補助を行う。

事業の支給額

次により算定したものを、実施主体となる都道府県毎に積み上げたものを予算の範囲内で支給する。

・削減した病床1床につき4,104千円とする。

・支給対象の稼働病床が地域医療介護総合確保基金における病床機能再編支援事業(単独支援給付金支給事業)による給付金の支給を受けていた場合は、差額のみを支給する。

また、算定にあたっては、以下を除くこと。

①産科部門の病床(MFICU等を含む)及び小児科部門の病床(NICU・GCU等を含む)を削減した場合、その削減した病床数

②同一開設者の医療機関へ病床を融通した場合、その融通した病床数

③事業譲渡等により病床を削減した場合、その削減した病床数

④病床種別を変更した場合、その変更した病床数

⑤医療法第30条の4第10項から第12項までの規定及び国家戦略特別区域法に基づき許可を受けた病床を削減した場合は、その削減した病床数

⑥診療所の療養病床又は一般病床について、医療法施行規則第1条の 14 第7項の規定に該当し、医療法第7条第3条の許可を受けずに設置された病床を削減した場合は、その削減した病床数

⑦その他、以下の病床を削減した場合、その削減した病床数 ア 国の開設する病院若しくは診療所であって、宮内庁、法務省若しくは防衛省が所管するもの、独立行政法人労働者健康安全機構の開設する病院若しくは診療所であって、労働者災害補償保険の保険関係の成立している事業に使用される労働者で業務上の災害を被ったもののみの診療を行うもの、特定の事務所若しくは事業所の従業員及びその家族の診療のみを行う病院若しくは診療所、児童福祉法第 42 条第2号に規定する医療型障害児入所施設若しくは障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第6項に規定する療養介護を行う施設である病院又は独立行政法人自動車事故対策機構法第 13 条第3号に規定する施設である病院若しくは診療所の病床(職員及びその家族、隊員及びその家族、業務上の災害を被った労働者、従業員及びその家族又は入院患者が利用する病床に限る。)

イ 放射線治療病室の病床

ウ 国立及び国立以外のハンセン病療養所である病院の病床

エ 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第 16 条第1項の規定により厚生労働大臣の指定を受けた指定入院医療機関である病院の病床(同法第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者に対する同法による入院による医療に係るものに限る。)

留意事項

給付金の支給について

・ 給付金の支給を受けようとする医療機関は都道府県に対して都道府県が必要と認める書類を添えて申請を行う。

・ 都道府県は、給付金の支給について、可能な限り速やかに開始できるよう努めた上で、申請受付開始日や申請期限を決定するものとする。

給付金の返還について

都道府県は、給付金の支給を受けた開設者又は開設者であった者が以下のア又はイに定める事項に該当する場合、支給を行った給付金全額の返還を求める。

ア 給付金の支給を受けた日から、令和17年3月31日までの間に正当な理由なく病床を増加させた場合。ただし、都道府県知事において病床の増加が必要と認めた場合はその限りではない。

イ 申請内容を偽り、その他不正の手段により給付金の支給を受けたと認める場合。

つぎに、3.施設整備促進支援事業についてです。

事業の目的

現下の物価高騰を含む経済状況の変化により、地域医療構想の推進や救急医療・周産期医療体制の確保のための施設整備が困難となっている医療機関等に対する支援を行う。

事業の内容

交付対象となる医療機関等その他厚生労働大臣が認める者であって、令和6年4月1日から令和7年3月 31 日までの間に国庫補助事業の交付対象となる新築、増改築及び改修(以下「施設整備」という。)に着手している者に対して、㎡数に応じた建築資材高騰分の給付金を支給する事業を行う都道府県に対し、補助する。

事業の支給額

令和6年4月1日から令和7年3月 31 日までの間に国庫補助事業の交付対象となる施設整備に係る本体工事の契約を締結している医療機関等に対して、㎡数に応じた建築資材高騰分の給付金を支給する事業を行う都道府県に対し、補助する。なお、支給額は、次により算定したものを、実施主体となる都道府県毎に積み上げたものとする。

・ 地域医療介護総合確保基金の事業区分Ⅰ-1(標準事業例5)に該当する施設の整備に関する事業については、別表1の第3欄に定める物価高騰を反映した単価と第4欄に定める標準単価との差額に、第5欄に定める基準面積及び第6欄に定める補助率をそれぞれ乗じて得た額とする。

・ 医療提供体制施設整備交付金の国庫補助事業及び医療施設等施設整備費補助金の国庫補助事業については、別表2及び別表3の第1欄にそれぞれ掲げる国庫補助事業毎に、同表の第3欄に掲げる構造別に、第4欄に定める物価高騰を反映した単価と第5欄に定める現行の交付要綱上の単価との差額に、第6欄に定める基準面積及び第7欄に定める調整率または補助率をそれぞれ乗じて得た額とする。

留意事項

給付金の支給について

・ 給付金の支給を受けようとする医療機関は、都道府県に対して、都道府県が必要と認める書類を添えて申請を行う。

・ 都道府県は、給付金の支給について、可能な限り速やかに開始できるよう努めた上で、申請受付開始日や申請期限を決定するものとする。

給付金の返還について

都道府県は、給付金の支給を受けた開設者又は開設者であった者が以下のア又はイに定める事項に該当する場合、支給を行った給付金全額の返還を求める。 ア 給付金の支給を受けた日以降、正当な理由なく施設整備を行わない場合。 イ 申請内容を偽り、その他不正の手段により給付金の支給を受けたと認める場合。

今後、各都道府県から申請開始日時当の情報が通知されるかと存じます。もしかしたら、実施機関等の延長なども生じる可能性もありますので、各医療機関等におかれましては、ぜひ、情報を注意して確認するようにしてみてください。