はじめに

今回は、入退院支援加算の評価拡充に関する議論がかなり進んできましたので、その内容について整理してお伝えします。

今回の改定案では、退院が困難となりやすい患者背景を、より適切に評価するための退院困難要因項目の追加、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟における入退院支援評価の拡充、地域連携診療計画加算において、検査結果や画像情報を添付した上で情報提供を行った場合の評価の見直し、市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業の中で策定された「入退院支援ルール」に基づいて支援を行った場合の評価といった内容についての議論が進められています。

現場の実務や病院経営にどのような影響があるのかをまとめております。

動画も配信しておりますので、よろしければご覧ください。

現行の入退院支援加算について

まず、現行の入退院支援加算の仕組みを確認しましょう。入退院支援加算には1・2・3があり、それぞれ評価点数が設定されています。

このうちの1・2の点数と、地域連携診療計画加算についても見直しが始まっている状況です。

 

退院困難な要因の追加背景

現在、入退院支援加算を算定した患者様の退院困難な要因として、トップ2は以下の通りです。

・緊急入院であること

・入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること

しかし、さらに詳しく調査結果を深掘ってみたところ、退院調整に人手を要する患者への入退院支援について、「身寄りがなく同居者が不明なもの」という理由の割合が非常に高いことが明らかになりました。

 

 

また、退院先の確保を行うために工夫している取り組みについて調査を行ったところ、「退院に向けて要介護認定の区分変更の必要性を判断する」という項目が上位に挙がってきました。

 

これらの調査結果を踏まえ、新たに2つの要因が追加される方向が概ね固まりました,。

・生活意思決定を支援する親族がいない場合(身寄りがない、同居者不明など)

・要介護認定の区分変更申請が必要な場合

これまでは「要介護・要支援認定が未申請であること」は要因に含まれていましたが、退院に向けて現在の介護区分を見直す必要があるケースも非常に手間がかかるため、今後は正当に評価される見込みです。

地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟における評価の見直し

退院困難な要因の中でも、「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること」という項目について、病棟別に確認したところ、興味深い結果が出ました。

地域包括医療病棟入院料および地域包括ケア病棟において、この項目の割合が特に高かったのです。

 

急性期一般入院基本料等と比較すると、これらの病棟では入退院支援により多くの人手や時間を要している実態を踏まえ、入退院支援加算の評価をさらに引き上げる(点数を高くする)方向で話し合いが進められています。

地域連携診療計画加算の強化

地域連携を促進するための「地域連携診療計画加算」ですが、現在は届出数や算定件数が伸び悩んでいます。

その理由の一つとして、検査結果や画像情報を提供しても現在の加算体系では評価されないため、「診療情報提供料」を優先して算定してしまう現状があります。

 

そこで今回の改定では、検査結果や画像情報を添付・提供した場合の加算評価を新設することで、地域連携診療計画加算の活用を促す検討がされています。

これが実現すれば、診療情報提供料で画像等を添付した場合の点数よりも、地域連携診療計画加算で検査や画像等を添付した場合の点数の方が高くなるなどの措置によって、地域連携診療計画加算の届出および算定件数を伸ばしていける可能性があります。

 

在宅医療介護連携推進事業との連携評価

各自治体で策定されている在宅医療介護連携推進事業等において、要介護・要支援の入院患者の円滑な入退院支援の実現に向けて策定されている「入退院支援ルール」を使って支援を行った場合の評価について、どのように考えていくかという検討も始まっています。

例えば、福井県では全県統一のルールとして普及を進めているような例があります。こうした入退院支援ルールの普及促進についての評価が追加される可能性が出てきています。

 

都道府県レベルまで普及できているかというと、福井県は珍しい例かもしれませんが、市町村レベルではかなり普及しているようです。問題は、それを実際に使っているかという点が課題として挙がっており、それらの活用と見直しも含めて、現場に基づいた支援ルールを策定してほしいという意図もあります。

こうした地域全体、自治体全体で入院患者さんの在宅復帰・入退院支援を推進していくための評価も、今回の改定で追加される見込みがあります。

 

最後に

2026年度診療報酬改定に向けて、入退院支援加算は「より手間のかかる患者への対応」「地域ぐるみの連携」を重視する方向で評価が手厚くなる見通しです。

特に地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟をお持ちの病院様にとっては、経営面でも大きなインパクトがある内容となります。今のうちから、退院困難要因の把握や自治体ルールの確認を進めておくことをお勧めします。

本記事が皆様の病院経営・運営の参考になれば幸いです。詳細が分かり次第、また改めてお伝えいたします。